しあわせの首輪
あるところに「幸せの首輪」というものがありました。
猫専用です。
幸せの首輪はこれまでもたくさん旅をしてきて、ねこの願いを叶えてきました。
美味しいものを食べたい猫、片思いの恋を叶えたい猫、人間の家族になりたい猫、
みんな叶えてきました。
そして、幸せの首輪は、猫の願いが叶うとそっと教えます。
一度幸せの首輪をはめた猫は、次の猫の所に渡しに行くのが決まりなのです。
幸せの首輪には色変わりの石がついていて、はめるている猫の目の色に変わります。
ブルー、グリーン、イエロー、ゴールド、ピンク…
「海のそばで幸せに暮らしたい」という夢を叶えた猫の「海ちゃん」は、ちょっと離れた堤防に座っている猫を見つけて、近づいて行きました。
「きみ、この首輪をあげる。今度はきみの番だよ」
その猫は目が見えませんでした。目が閉じていました。
うみちゃんは首輪をはめてあげました。
すると、きれいな緑だった色変わりの石は、黒くなっていきました。
海ちゃんはじっと石を見ていました。
石にはだんだんと色がついていきました。不思議な色。青と緑と金色などが混じりあった、お日様の光でいろが変わる石になりました。
目が見えなかった猫の目は、右目が青、左目が金色になりました。
もちろん、目も見えるようになりました。初めて見る空と海は猫の目と同じようにキラキラ輝いていました。
「この首輪、いろんな猫に渡るといいね」
二人はそう話しながら、砂浜を歩いて行きました。
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